原価管理を行う具体的な手順を解説！正確に把握するのは難しい？

悪天候が続いて不作、経済状況の変化など、原材料の高騰にはさまざまな要因があります。「突然の値上げに苦労している」という方も、多いのではないでしょうか？利益を確保するため、そしてリスクを見つけて回避するために「原価管理」はおすすめです。この2つのメリットや手順、話題の原価管理システムを利用するメリットをご紹介します。

原価管理を行うことで得られるメリット

原価管理とは、商品を製造する際に必要な原価を「固定費」と「変動費」に分けて計算し、目標金額を分析してコストを改善することをいいます。どのような業種に対しても原価管理は適用できます。たとえば、あなたがパン屋を1人で経営しているとします。新商品として「ヒレカツサンド」を販売しようと決めました。その場合、パン生地作りの費用に加え、中身の具材はトンカツ屋さんに注文するので外注費が必要になってきます。

さらに、サンドする野菜やソースはお店で準備するので、材料費が必要です。製造する量は思いつくまま、やみくもに量を作ってしまうと当然、売れ残ってしまう可能性があります。失敗しないために、綿密な（生産計画）を立てることが必要です。手順については後にお伝えしますが、まずは原価管理のメリットがどこにあるのか、ご紹介します。

■利益を確保でき、最善の生産計画を立てられる

過去の原価を記録しておけば概算の数字を検討する時に役立てることができます。原価確保のために最初に決める「標準原価の設定」に対して、発売後に方向性がずれていないかを、比較し分析することで早期に適当な対策が打て、軌道修正できます。また、細かな情報を記録していくことで、常に最善の生産計画を作れます。

■価格の変動を把握し、リスクを回避できる

たとえば、ヒレカツサンドの売れ行きが好調で定番商品として売り出すようになっても、材料の一部がある日値上がりをし、販売価格とバランスがとれず赤字になってしまうことも。引き続き販売するためには、2つ改善の方法があります。

1つは価格を維持するために材料を変更すること。もう1つは、品質はそのまま値上げをすることです。どちらを選択したとしても、「原価管理」をすることは有効です。どの材料を変ればコスト的にもいいのか、金額をいくら上げればいいのか明確になります。また、今後の価格変動に対してもあらかじめ予測できるようになるので、ぜひ活用してみてください。

原価管理を行う具体的な手順とは？

「原価管理が苦手！」「まず何から手をつけたらいいの？」頭を抱えている方も安心です。原価管理するためには4つの手順をご紹介します。どの業種にも共通するので、ぜひ参考にしてください。

■手順1.標準価格を把握すること

まずは標準価格を決めましょう。標準価格とは、目安になる原価のことです。内訳は材料費と労務費（労働によって発生する原価）、間接費。たとえば、「ヒレカツサンドを作りたい」と考えた時に、分解して考えると材料費（パン+メンチカツ+野菜+ソース）と労務費+間接費(光熱費などの施設費)が必要になります。項目ごとにわけてそれぞれ目安となる価格を設定します。標準価格は目標価格になるので、実際の価格と大きな差が出ないように注意する必要があります。過去の製造実績をもとに利益のバランスを考慮して設定するとよいでしょう。

■手順2.原価計算すること

先ほど標準価格で分解した材料に対して、詳細に原価を計算していきます。材料費の内訳（パンの製造費用+ヒレカツの卸価格＋野菜の材料費+ソース製造費）+労務費+間接費（設備費）を計算します。エクセルなどで「原価表」を作成し、品名・仕入れ先・使用個数・単価・仕入れ原価をそれぞれ記録すると正確な金額が出せるのでおすすめです。記録したものはデータとして残り、管理しやすくなります。また、原価表を使用する中で気をつけたいのが費用の記入漏れです。業種や従業員の数などにより異なりますが、経費、件費など抜けがちな原価に注意しましょう。事前に把握して原価計算する必要があります。

■手順3.差異をチェックすること

「実際に販売してみたけど標準価格からだいぶ誤差があった」という場合も少なからずあります。そのため、標準価格と「実際価格」を比較し、差異分析をしましょう。実際価格とは、実行し実際の消費量で計算した原価です。双方の価格を比較することで、課題を発見でき、改善につながります。

■手順4.改善行動を起こすこと

手順3で紹介した問題点は迅速に改善していきましょう。たとえば「外注にヒレカツを頼んでいるが、想像以上にコストが掛かってしまった。肉の部位を変えてもらおう」など、仕入れ価格や個数の見直しをすることで、原価低減が目指せます。おすすめなのは具体的にどんな理由でどんな改善をしたのかデータとして残すことです。今後の生産計画を出す際に役立ちます。

負担を軽減するためには原価管理システムを導入するのがおすすめ！

「原価管理をしたい気持ちはあるけど、実際は原価の動きや設備費、人件費など変動が激しくて管理が難しい」「膨大な量の商品を扱っているのですべてを把握するのは無理！」という担当者も多いと思います。負担を軽減するには、原価管理システムの導入をおすすめします。導入することで得られるメリットをご紹介しますので、ぜひ検討してみてください。

■正確な原価を把握できる

エクセルを使用して原価管理している方も多いかもしれません。手入力で管理している場合、人ため的なミスを防ぐことは難しいものです。また、データが壊れた場合の復旧が困難という問題点も出てきます。手順2で紹介した経費や人件費など漏れやすい原価についてもシステムが把握してくれるので安心です。

■問題をいちはやく見つけられる

目的に合わせた分析ができます。手順の3で紹介した差異のチェックにおいて、いちはやく分析ができます。たとえば「レタスが不作でこの数か月仕入れ価格が高くなっている」という問題点も、原価管理システムなら統計として簡単に把握でき、「代わりにキャベツに変更しよう」など、迅速に改善に取り組めます。また、過去に使用したことのある品種や仕入先を検索し、比較できるのもメリットです。

■根拠のある統計資料が作れる

標準価格や実際価格の比較など、これまでに原価管理をして残してきたデータは統計資料として役立てることができます。根拠のある資料作りなのでお客様への提出や会議など、今後活躍の機会はさらに増えてくるに違いありません。

■コスト削減ができる

システムを導入する一番のメリットは、検索しやすいという点です。膨大なデータを抱えている経営者や経理の方はぜひ原価管理システムを検討してください。入力も含め、事務作業の効率化につながり、コスト削減が期待できます。

■他のシステムと連携させて、データを把握できる

調達システム、給与管理システム、生産管理システムさまざまな基幹システムと連携できるのが増えています。目的や用途に合わせて見極めて使用しましょう。

これまでに、原価管理をすることで得られるメリットや手順、価管理システムを導入のメリットを紹介してきました。原価管理を適切に行うことで利益の確保やコスト削減が目指せるなど、利点は多いと考えます。これまでに気がつかなかった商品の長所や短所を見つけるきっかけにもなりますので、お悩みの方はぜひ、原価管理システムを導入してみてください。