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製造原価とは?売上原価との違いや計算方法を解説!

公開日:2024/06/15  

製造原価

製品を作るための費用を全て合算したものが製造原価です。製造業において利益を上げるためには、製造原価を下げることが重要です。本記事では、製造原価の基礎知識から、分類方法、計算方法まで、製造原価に関するすべてを網羅的に解説します。製造原価を理解することで、利益を最大化するための戦略を立てられます。

製造原価とは?

製造業において、利益を追求するためには、製品を製造する際に発生する費用を正確に把握することが不可欠です。その費用こそが「製造原価」であり、製品を生み出すために必要な経費をすべて合算したものです。製造原価は、大きく分けて3つの要素から構成されます。

材料費

製品を作るうえで欠かせないのが、原材料や部品の費用です。具体的には、自動車であれば鉄やアルミなどの金属、電子機器であれば基盤や半導体、食品であれば小麦や牛肉などが該当します。これらの素材は製品の品質や機能に直結するため、適切な調達と品質管理が重要となります。

労務費

製品の製造には、熟練の技術をもつ人材の力が不可欠です。製造原価における労務費は、従業員の給与、賞与、福利厚生費などを含みます。人材育成や労働環境の改善は、従業員のモチベーションや生産性の向上につながり、結果的に製造原価の削減にも貢献します。

経費

材料費や労務費以外にも、製造原価にはさまざまな経費が含まれます。たとえば、工場の賃貸料や光熱費、設備の減価償却費などが挙げられます。これらの経費は、製造活動全体を支えるために必要なものであり、効率的な運用やコスト削減が求められます。

製造原価は、製品を製造するために実際に発生した費用を全て把握することで算出されます。しかし、実際にはすべての製品が完成しているわけではなく、製造途中の状態である「仕掛品」も存在します。そのため、製造原価を正確に計算するには、仕掛品の棚卸高も考慮する必要があります。

売上原価との違い

売上原価とは、製品を販売するために必要なすべての費用を合計したものです。製造原価に加え、以下の要素が含まれます。

販売費

製品を販売するために必要な広告宣伝費、販売手数料、配送費などが該当します。顧客を獲得するためのマーケティング活動や、製品を顧客に届けるための物流コストなどが含まれます。

一般管理費

会社全体を運営するために必要な費用です。役員報酬、家賃、水道光熱費などが該当します。製造部門だけでなく、営業部門や管理部門など、会社全体に関わる経費が含まれます。

売上原価は、製品を製造してから販売するまでのすべての費用を合計しているため、製品の「販売コスト」を把握できます。製造原価と売上原価は、製品に関わる費用を対象とする範囲が大きく異なります。

製造原価は製品の製造にのみ焦点を当てているのに対し、売上原価は製品の販売に関わるすべての費用を包括的に捉えています。

製造原価を正しく把握することのメリット

製造業において、利益を追求するためには、製品にかかる費用を正確に把握することが不可欠です。そのための指標となるのが「製造原価」であり、製品を生み出すために必要なすべての費用を合計したものです。

製造原価を正しく把握することは、企業経営においてさまざまなメリットをもたらします。以下では、その具体的なメリットについて詳しく解説します。

製品適正価格の設定

製品の価格設定は、企業にとって非常に重要な経営判断のひとつです。価格が高すぎれば顧客は購入を控えてしまい、低すぎれば利益を確保できません。製造原価を正しく把握することで、製品の原価に基づいた適正な価格設定が可能となります。

原価よりも低い価格設定をしてしまうと、販売しても利益が得られず、経営を圧迫する可能性があります。また、顧客にとって割高な商品となり、購入を控えてしまう可能性があります。製造原価を分析することで、原価構成要素である材料費、労務費、経費の内訳を把握できます。

内訳を分析することで、無駄なコストが発生している箇所を見つけ出し、削減可能です。また、原価に加えて、販売にかかる費用や一般管理費なども考慮することで、より精度の高い価格設定が可能となります。

コスト削減のヒント発見

製造原価を分析することで、材料費、労務費、経費などの内訳を把握できます。内訳を分析することで、次のようなコスト削減のヒントを発見できます。仕入先を複数比較検討したり、代替品を探したりすることで、材料費を削減可能です。

また人員配置や作業工程を見直したり、自動化設備を導入したりすることで、労務費を削減できます。そのほか、光熱費や通信費などの経費を見直し、無駄な支出を減らすことが可能です。これらのコスト削減のヒントを実行することで、製造原価を削減し、利益を拡大できます。

利益率の向上

利益率とは、売上高から売上原価や販売費・一般管理費などを差し引いた、企業が得た利益の割合を示す指標です。利益率が高いほど、企業は効率的に利益を上げていることになります。

製造原価を削減することで、利益率を向上させられます。利益率の向上は、企業の経営体質を強化し、さらなる成長につながります。具体的には、以下のようなメリットをもたらします。

経営状況の透明化

製造原価を正しく把握することは、財務諸表の信頼性向上にもつながります。財務諸表は、企業の経営状況を外部に示す重要な資料です。製造原価が正しく計上されていない財務諸表は、企業の経営状況を正確に反映していない可能性があります。

そのため、投資家や金融機関などは、製造原価などの情報にもとづいて企業を評価します。製造原価を正しく把握することで、財務諸表の信頼性を向上させ、企業の経営状況を透明化できます。

 経営管理の効率化

製造原価を正しく把握することで、経営管理の効率化にもつながります。経営管理においては、製品や事業ごとに費用対効果の分析が重要です。製造原価を分析することで、どの製品や事業が収益性の高いのか、低いのかを把握可能です。

この情報に基づいて、経営資源を効率的に配分し、収益性の高い製品や事業に重点投資できます。また、製造原価の変動を分析することで、経営上の問題点を早期に発見し、迅速な意思決定ができます。

製造原価の計算方法

製造業において、利益を最大化するためには、製品にかかる費用を正確に把握することが重要です。そのための指標となるのが「製造原価」であり、製品を生み出すために必要なすべての費用を合計したものです。

しかし、製造原価を算出するためには、単に材料費や労務費、経費を合計すればよいというわけではありません。製造過程において、すべての製品が完成しているわけではなく、製造途中の状態である「仕掛品」が存在するためです。

そこで、製造原価を正確に計算するためには、以下の式を用いる必要があります。

「当期の製造原価 = 当期の総製造費用 + 期首の材料・仕掛品の棚卸高 – 期末の仕掛品・未使用材料費」

ちなみに、当期の製造原価はすでに解説した材料費、労務費、経費の3つです。それ以外の項目を詳しく見ていきましょう。

期首の材料・仕掛品の棚卸高

期首の材料・仕掛品の棚卸高とは、期首時点(当期の最初の日)における材料や仕掛品の在庫金額です。仕掛品とは、製造途中の製品のことを指します。期首時点における在庫金額を把握することで、当期に新たに発生した費用を正確に算出できます。

期末の仕掛品・未使用材料費

期末の仕掛品・未使用材料費とは、期末時点(当期の最後の日)における仕掛品や未使用材料の在庫金額です。期末時点における在庫金額を把握することで、当期中に製品として完成した金額を算出できます。

式の組み合わせで製造原価を算出

上記の3つの要素を組み合わせることで、製造原価を算出できます。当期の総製造費用で発生した全ての費用を把握し、期首の材料・仕掛品の棚卸高で期首に持ち越された在庫金額を把握し、期末の仕掛品・未使用材料費で期末に残った在庫金額を把握することで、当期の製造原価を算出できます。

まとめ

製造原価は、製品を作るために必要なすべての費用を合計したものです。製造原価を理解することで、利益を最大化するための戦略を立てられます。本記事では、製造原価の基礎知識から、分類方法、計算方法まで、製造原価に関するすべてを網羅的に解説しました。製造原価を理解し、自社の製造原価を分析することで、利益アップを目指しましょう。

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