導入前に再確認!そもそも原価管理とは何?ソフトを導入する必要性は?
製品の製造・販売を行う企業はもちろん、無形商品であるサービスを提供する企業であっても利益が発生する限り必ず原価は存在します。原価は常に揺れ動くものであり、また人手で管理することは難しいのにも関わらず企業の成長や寿命を大きく左右します。
ここでは原価管理とはどんなものか、原価管理ソフトの特徴や導入する必要性に関して解説します。
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原価管理とはどんなもの?原価計算との違い
一般的に商品やサービスを生産する際にかかる金額もしくは仕入額を原価と呼び、企業内での標準値と日々の実際の発生額の記録値とを比較・分析することを原価管理と言います。
標準的な原価額よりも実際の出費額の方が大きくなれば、やがて赤字へと傾くため仕入れ先や製造ラインの見直しを行わなければなりません。原価管理を緻密に行い、その結果から経営計画や生産・販売計画を立てていくことは企業の成長を促す上で必須の業務です。
管理について調べている時に頻出する原価計算とは、製造・売上原価を計算するためのテクニックのことです。このテクニックを用いて適切に管理するのが、原価管理となります。つまり原価計算がツールであり、それによって求められた結果をどのように活かすかなど利用方法を決定するのが原価管理です。
概念がもっとも分かりやすい製造業を例に計算するなら、製造原価を製造個数で割ることで算出できます。製造業においては原材料や部品などの材料費と作業員の給与にあたる労務費、大型設備や外注加工先などに支払う経費の主に3種類です。材料費が20万円で労務費が20万円、経費が10万円で製造数が500個であるなら製品1個あたりの原価は1,000円となります。
企業において原価管理が重要視される理由
市場経済は流動的であり、この影響をダイレクトに受けるのが製造業における材料費の部分です。サービスを提供する企業であってもこの面は変わらず、必要器具や備品などの設備費(経費)がその影響を受けたりそれに伴い人件費(労務費)も間接的に変化を及ぼします。
このように原価は常に揺れ動くものであり、正確に把握することは困難です。ただしそれを理由にして原価管理の手間を惜しんでしまうと、効率良く利益を生み出すことができないのも事実です。
たとえば原材料費や人件費の費用が前年よりも高騰しているにも関わらず、販売価格を動かさなければ利益はどんどん下がってしまいます。ただ材料費など原価が上昇したという事実だけで、安易に販売価格を値上げしてしまうと現在の市場に見合った価格と外れて消費者離れの原因となる可能性が高いです。
企業が効率良く利益を生み出し、恒久的に成長していく上で緻密な原価計算と入念な原価管理が欠かせません。インターネットの普及により消費者のニーズは多角化し、製品・サービスがこれに追随しさまざまな展開を行う必要があります。自社の製品やサービスの原価を逐一精査し、業績向上のための計画を立てることは、利益追求はもちろん企業の成長にとっても必須事項です。
原価管理ソフトの特徴と基本機能
原価管理ソフトは文字通り商品の原価を管理するだけでなく原材料や労務費、経費など原価に上乗せされるコスト、販売価格など総合的な管理を行うITツール・システムです。販売価格はこれらコストに加えて粗利も含まれており、企業の利益となる粗利を増やし反対にコストをいかに削るかがポイントとなります。
粗利の増幅とコストの削減のための経営戦略を立てて、利益を生む仕組みの構築のサポートを行うのが原価管理ソフトの役割であり企業においてその必要性は非常に高いです。
ソフトは提供するメーカーによって備わっている機能が異なりますが、ここでは基本的に搭載されている機能を見ていきましょう。
原価計算を目的に応じて使い分けることのできる、原価計算機能はどのソフトも標準装備です。これが使いやすいかどうかで、システムの使い勝手が左右されるため導入前にはしっかりチェックするようにします。
原価の目標値と実際の原価の差異を分析する、原価差異分析機能も重要です。このデータを常に把握することによって、原価と販売価格を適正なものにすることが容易となります。自動的に算出してくれるため、効率的な差異分析が可能です。 損益分岐点を把握する上で重要な、損益計算機能も搭載されていることが多いです。将来的な利益を図る上で、欠かせない機能となっています。
他にも原価計算の試算を行うシミュレーション機能や、他のさまざま関連システムと結びつけて活用できる連携機能なども大事な機能です。
導入のメリット1・原価計算や管理が効率的
原価管理ソフトに備わっている計算機能は、特定のデータを入力するだけで複雑な原価計算を自動的に行ってくれます。製品・サービスの原価を算出する原価計算にはさまざまな計算方法があり、目的や用途に沿って使い分けなければなりません。
システムを用いず人力で計算を行えば、業務が複雑化して効率が低下してしまいます。加えて日々市場価格は変化しており、その度に仕入れ価格や経費・人件費は大きく変動します。
必要なデータを入力するだけで、用途に適した計算方法を用いて的確なデータを取得できるのは大きな魅力です。 また算出したデータを基に、現状の課題点を発見したり継続的に利益を生み出すべく改善策・計画を立案する上で管理ソフトは大きな役割を果たします。
システムを導入することにより原価計算を効率化した結果、より素早く原価管理を行うことができるようになります。データより現状を把握して、得られた原価情報を元手にPDCAサイクルを繰り返すことが大事です。システムを導入することによって、原価管理のPDCAサイクルの強化が促されるのは大切なメリットの1つです。
導入のメリット2・損益分岐点やコスト削減の分析が可能
システムを導入することにより、損益分岐点を知ることができるのもメリットの1つです。生み出している利益に対して今後どれほどの売上高が必要であるかを算出することは非常に重要ですが、物件費や人件費に加えてあらゆる固定費・変動費も計上しなければならず、非常に手間がかかります。
このように損益分岐点を把握するには時間・手間コストがかかりますが、経営の問題点を見出す上でとても大事です。ソフトに備わっている損益分岐計算機能を用いることで、経営の負担を減らしつつより緻密な経営戦略を立てることができます。
加えて、コスト削減の助力となるのも大きなメリットです。人件費削減を行えば確かにコストは減らせますが、従業員のモチベーションに繋がってしまいます。しかし製品・サービスの原価の中にコスト削減の要素があれば、企業全体にとって最も効率の良い有益な策となりうるでしょう。
分析機能を用いて原価を正確に把握した上で、人件費以外のコスト削減のための分析や特定を効率的に行うことが可能なのは魅力的です。
メリット3・将来を想定した計画を立てやすい
材料費や人件費は社会情勢や景気によって大きく左右されるものであり、従って原価は常に変動します。そのため企業は、販売価格はもちろん原価も適切な価格を維持するために、市場経済の動きやさまざまな状況を想定した上で将来の計画をあらかじめ立てておく必要があるのも事実です。
そこで役立つのがソフトに搭載されている、原価変動に対するシミュレーション機能となります。仕入れ先や価格が変化した場合や為替の変動、原材料費・物価の高騰などありとあらゆるケースを想定した上での原価をシミュレートできるのが強みです。
企業にとって大きな敵となる不透明な将来の情報を、ソフトの力によって入手できると言っても過言ではありません。得られたシミュレーションのデータを基に、対策・計画を立てて予防線を張っておくことにより急な状況変化にも対応できる、強固な組織を築き上げることが可能です。
また他の業務アプリケーションと連携できる点も、大きなアドバンテージとなります。データ入力作業が効率化されたり、販売計画を立てるためのデータ出力が容易になるなど多くのメリットが得られます。
組織の大小に関わらず、利益を追求する企業にとって原価管理は欠かせない業務の1つとなっています。原価管理ソフトを導入することによって原価計算業務が効率化するだけでなく管理や他の業務アプリとの連携、損益分岐点の把握やコスト削減などそのメリットは多いです。
正確な原価情報を把握して、今後の業務向上ならびに継続的な利益を生み出す仕組みを構築する上で原価管理ソフトは非常に有用なツールと言えます。