工事現場における現場管理の必要性とは？トラブルを未然に防ぐ！

見積もりに沿った工事を進めていたはずなのに、完成したら予想していたより利益が大幅に下がってしまったという施工管理者や現場監督もいるのではないでしょうか？人員を減らせば工期が遅れる。原価を抑えれば品質に影響するなど、バランスは難しいものです。トラブルを防ぐにはどうしたらよいのでしょうか？「現場管理」についてご紹介します。

工事現場における現場管理の必要性とは？

現場管理とは、施工管者や現場監督が各案件において、行っている業務的な管理のことをいいます。工事現場で支持を出すこととは違い、主に事務所でのデスクワーク作業になるので「面倒、手間がかかる」というマイナスイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

しかし、正しく管理をしていくことで、生産性の向上につながりますので、損はありません。まずは、「現場管理」ではどのような管理をしていくとよいのか、その必要性についてご紹介します。

■過去実績を基にした「原価管理」

利益は、「売上－原価」で確保できます。業種によって大きく違う点は、製造業が「一般会計」なのに対して、建設業は「建設業会計」ということ。一般に、商品を販売する方法とは違い、工事や建築の場合は、仕入れた材料で修理し、完成させ、引き渡すことで売り上げになります。そのため、工期が長引くと完成、引き渡しも遅れ、計上が遅れてしまうことに。予定工期から長引いてしまうことで、クライアントの信頼が落ちてしまうこともあります。

さらに、見積もっていた原価にプラス、人件費や水道光熱費、機材のレンタル料など予算外の費用が掛かってしまうでしょう。赤字の工事現場にならないためにも、過去の施工実績から比較し、事前に原価を把握しておいた方が良いです。

■原材料の調達･向上に努める「品質管理」

クライアントの求めているものを納品できるようにクオリティを高めていくことを品質管理といいます。あらかじめ設定していた規格や使用方法で工事が進んでいるかを確認すること、欠陥・不足がないように管理していくことが大切です。しかし、原材料の需要が急上昇することで入手が難しくなったり、価格高騰でさまざまな問題がでたりします。このように「品質管理」において、使用している材料が急に入らくなるという、突然の事態にも迅速に対処するためにも日常管理が重要です。

■納期に沿った「工程管理」

工程管理とは、工期にあわせてスケジュールを組み立て管理することです。工程は予定どおりに行われるとは限りません。遅れた場合にどのように調整するかが大切です。そのため、「週間工程」、「月間工程」、「全体工程」を制作して把握している現場もあります。日報や細かな進捗管理が求められています。

■なにより「安全管理」が第一！

工事の内容によっては、危険がともなう現場もあります。事故が起こると完成後も「事故が起きた場所」という事実が残り、クライアントにも迷惑がかかるので工事は絶対安全ですすめましょう。作業員が安全に取り掛かれるように事前を確認することが重要です。

現場では、作業員一人ひとりの様子に気をつけること。全員に声かけは難しいかもしれませんが、「一日一声掛け」がおすすめです。誰でも体調不良のまま、勤務しているといつもより集中力が落ちてしまうものです。不要な事故やトラブルを起さないためにも全員体調万全で現場に入りたいですね。

■円滑に工事を進めるため周りの「環境管理」

工事はチームワークです。コミュニケーションを円滑にし、いい環境で仕事ができるよう「環境管理」をしていくことも大切です。何気ない会話も大切。困った時にお互い支え合えるよい環境を作っていきましょう。

工事現場の現場管理を行う上で意識するべき点

現場管理を行う上で意識するべき点は「原価を把握」「分析」「共有」することです。このコツを知っておくと今後、現場管理を円滑に進めていけますので、頭に置いておくとよいでしょう。

■原価を正確に把握することが大切

原価には、材料費、労務費、経費、外注費である「直接費」と、それ以外の「間接費」が掛かります。工程の遅れが起きたときに、各費用がどのくらい加算されるのか把握しましょう。人ため的なミスが起こらないよう、抜けがないか工事全体を見渡すことが大切です。

■問題が起きる前に“これまで”を分析すること

目標値である「標準原価」に対し、実際に発生した原価のことを「実際原価」をいいます。標準計算、実際計算で出た原価を比較すると、いくらの利益になるのか把握する材料になります。また、どの費用が主に下がってしまったのか、直接費と間接費に分けて詳しく分析しましょう。そうすれば、工事の反省点を振り返るだけではなく、次回案件で目標値を設定しやすくなります。分析は繰り返すことで無駄なコストの削減になり、生産性を上げることが可能です。

■個人だけではなく、会社で共有すること

「自分だけが知っておけばいい」と個々で判断すると後で認識の違いにより、大きなミスが起きてしまうことも。「こうしたら今の状況を改善できる」、「こうしたら効率よく仕事ができる」というノウハウは積極的に社内で共有していきましょう。自分だけではなく、チームの向上になり、さらに会社全体が向上されていきます。社員同士の理解を深めていくことが大切です。

現在、情報共有において、紙ベースで行われているところも多いと思います。一目で理解できる、電子機器が苦手な方もいるという点でも紙が必要ではありますが、情報管理の面で、紙は紛失の恐れがありますし、調べたい時にすぐ出てこないという欠点があります。そのため、なるべくデータに残しておくことも大切です。

迷いどころ！現場管理システムはどう選ぶ？

現場管理について「そんなのわかっているよ」と思われた方もいるかもしれません。しかし、誰か特定の人だけですべてを管理していこうと思うと難しいものがあります。施工管者や現場監督はとにかく時間がありません。工事現場で支持をださなければいけませんし、事務所に戻ってからも事務処理が残っています。

入力作業をしている余裕がないということが正直なところです。そんなあなたを今後支えてくれるのが「現場管理システム」です。「存在は知っているけど、種類が多すぎて、なにがよいかわからない」という声も聞こえてきそうです。そこで、いま話題になっているオンプレミス型とクラウド型にわけて違いを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

■まずは利用目的を明確にしましょう

「赤字工事をゼロにしたい」、「財務を明確にしたい」など、抱えている問題点や目的に応じた工事原価管理システムがあります。目標を達成するためにどんな機能があるのか、どんなカスタマイズができるのか。システムにより違いるため、見極めて検討していくとよいでしょう。

■オンプレミス型

オンプレミス型は、社内サーバーのことをいいます。自社内にサーバーやネットワークを構築したものや、データセンターを保有し、運営している事業者の「ハウジングサービス」を利用できるものなど、いくつか種類があります。どちらもハードウエア資産は自社によるものという点が大きく、もともと社内で保有しているデータがある場合は、連結することが可能です。

たとえば、過去の実績、原価などの情報を起こし、比較する際に役立ちます。「自社で使用しているデータが使える現場管理システム」を重点に検討でき、おすすめです。運用していく手間やコストが掛かる点はありますが、社内ネットワークを使用しているのでインターネットでトラブルがあった場合にも影響を受けない点が強みです。

■クラウド型

最近、爆発的に増えてきたのがこのクラウド型です。インターネットからサーバーへ接続し、インストールされた現場管理ステムを流用するという流れがあります。オンプレミス型と大きく違う点は、サーバーやネットワーク機器など準備する必要がないこと。システム利用料から見ても安価で、コストを抑えられます。しかし、セキュリティー管理についてはリスクがあるので、自社でしっかり対策していきましょう。

クラウド型の一番の利点は、共有できる点です。たとえば、図面や写真、工程表をクラウドにアップロードするだけで、自分だけではなく、他者と共有し「いつ・どこででも」情報を確認できます。コストの削減・作業の円滑化を目指している場合にもおすすめです。

これまで、工事現場での現場管理を行う必要性や意識する点を紹介してきました。現場管理のなかでもいくつかポイントはありましたが、そのなかでも鍵になるのは「原価管理」です。原価を正確に把握していくことで、利益が増え、コスト削減につながっていきます。まずは、現場管理システムの違いを知り、導入を検討してみてはいかがでしょうか？