オンプレ版とクラウド版の原価管理ソフトの違い
原価管理には一般的な表計算ソフトを使うことも可能ですが、専用の原価管理ソフトを使えば業務効率が高まります。原価の計算を行うだけでなく、長期間にわたり継続的な管理が必要な場合は原価管理ソフトを導入するのがおすすめです。一般的に広く使われている原価管理ソフトにはオンプレ版とクラウド版があるので、自社に合ったものを選びましょう。
Contens
原価管理ソフトは業務を効率化します
企業規模に関わらず利益を確保できるか判断するには、具体的な原価を明確にしなければなりません。建設や製造などでかかる費用には原材料の価格のほか、顧客対応の人件費や機材の調達費、電気代などさまざまな費用が含まれます。
機材や設備は購入する場合とレンタルする場合があり、前者の場合はレンタル料金がかかり、後者の場合は購入代金や減価償却費を考慮する必要があります。さらに営業活動では販売管理費も必要になるので、総合的な費用を明確化するには継続的に管理を行うことが重要です。
表計算ソフトなどを使った原価管理は可能ですが、専用の原価管理ソフトを導入すればさらに業務を効率化できます。基本的に経営規模が小さい場合は扱うプロジェクト数が少なく、仕入先や外注先なども少ないことから、シンプルな機能のソフトでも問題ありません。
経営規模が大きくなるほどプロジェクト数も増え、仕入先なども多くなるため高機能な原価管理ソフトが必要になります。原価管理ソフトにはさまざまな機能を備えたものがあるので、自社の状況に応じて最適なものを選ぶことが大切です。
オンプレ版とクラウド版の違いとは
企業の情報システムにはオンプレ版とクラウド版の2種類あり、それぞれに異なるメリットが存在します。オンプレ版とはオンプレミス版を略したもので、英語の「on-premises」には「構内で」という意味があります。情報システムを自社の設備内で完結し、管理・運用することを意味するIT用語です。
企業の情報システムで扱われる内容は基本的に社外秘なので、2005年頃まではすべての情報を自社の管理下に置くことが主流でした。しかし今は世界中でインターネットや高速通信回線が普及し、業務の効率化を目的とするアウトソーシングなどが一般化したため、情報システムのクラウド化が進んでいます。インターネットへの接続環境と外部の企業が提供するサービスの利用によって、システムが運用されている状態は「クラウドコンピューティング」と呼ばれます。
原価管理ソフトにもオンプレ版とクラウド版があり、それぞれに異なるメリットがあります。費用やセキュリティなどを比較検討して自社に最適なものを選びましょう。
オンプレ版とクラウド版の費用について
新たなシステムやサービスの導入を検討している場合は、導入時や維持の費用について検討する必要があります。オンプレ版の原価管理ソフトは購入するサービスの料金のほか、サーバーや設備などの費用が必要になる可能性があるため注意してください。導入時に多額の費用がかかるのが一般的ですが、長期間にわたり継続使用すると月々の費用を安く抑えられるケースもあります。なるべく初期費用を抑えたいのであれば、低額な月額料金で必要なサービスのみを利用できるクラウド版を選ぶとよいでしょう。
オンプレ版ではソフト以外に回線やサーバーなどの費用が必要ですが、保守を依頼しない場合は月々の料金は発生しないことが一般的です。一方、クラウド版は低額な料金が毎月発生するので、利用期間によっては結果として料金が高くなるケースもあります。
オンプレ版はバージョンアップされたソフトを利用するために別途料金がかかることもあります。サービス会社にバージョンアップ版のインストール作業を依頼した場合には、さらに費用がかかることがあるので注意してください。クラウド版であれば必要なサービスを追加利用でき、定期的に無料でバージョンアップされます。
自社に合った原価管理ソフトを選ぶには
オンプレ版は1年目の保守費が初期費用に含まれていますが、2年目以降は保守契約する必要があります。保守費を払った場合であっても障害の内容次第では別途料金が発生するため注意してください。クラウド版では障害が起きた場合でもサービス会社が対応するので、急な費用が発生することはありません。初期費用を比較するとクラウドの方が安く導入できますが、利用期間によってはオンプレミスの方が費用を抑えられる場合もあるのです。
またクラウドでは、毎月の料金が低額でも最低利用期間が設定されている場合もあるのでチェックしてみてください。バージョンアップが必要な場合や障害が発生した場合を考えると、基本的に追加料金が不要でサービスの提供会社が対応してくれるクラウドの方が便利でしょう。
クラウドは自社の情報を社外のサーバーに保管し、インターネット経由で情報の送受信を行うためセキュリティ面でリスクがあります。セキュリティを重視する場合は、自社で情報を管理するオンプレ版を選ぶとよいでしょう。
コストパフォーマンスの優れた原価管理ソフトとは
会社が成長するに伴いプロジェクト数は増え、原価を計算する際の人材や設備なども多くなるため原価管理ソフトが必要です。原価を一元化して管理する必要性は経営規模が大きくなるほど高まるため、企業の成長段階に応じて最適なソフトを選ばなければなりません。
経営の初期段階では予算が限られており、高価で高機能なソフトを導入するのが難しい場合があります。規模が小さい段階では価格の安いシンプルなソフトでも充分対応可能なので、必要な機能を備えているかを検討しましょう。
クラウド版のソフトには、ユーザー数や管理項目が少なければ安い料金で利用できるものもあります。企業規模が大きくなり労務料の削減が必要になった場合には、管理可能な項目が多く自動化機能が充実したソフトを選ぶとよいでしょう。
大企業では原価の管理だけでなく、経費精算や給与計算などを一元化して行えるソフトを選ぶとよりコストパフォーマンスが高まります。相互に関連した自動化可能な業務を一元化するソフトを選べば、事務部門の業務効率を大幅に向上させられるのです。
サポート体制が充実したソフトを選ぶ
企業が原価管理ソフトの導入を検討していても、IT専門のスタッフがいないため使い方がわからないことがあります。原価管理ソフトにはオンプレ版とクラウド版がありますが、サポート体制の充実したものを選べば安心して使えますよ。原価管理ソフトには担当者が電話やメールで対応しているものだけでなく、直接的に訪問指導してもらえるタイプも用意されているようです。
ソフトを選ぶ際には、どのような状況でも素早く柔軟な対応を期待できるか確かめることが大切です。ホームページや他の利用者による口コミなどを参考にしながら、サポート体制について確認するとよいでしょう。
パソコンのOSやネットワークの環境は随時アップデートされており、ソフトもアップデートが必須です。クラウド版ならばサービス会社が対応するため、企業が自らアップデートを行う手間を省けます。オンプレ版では基本的に自らアップデート作業を行う必要があるため、担当者が訪問指導してくれるソフトを選ぶのがおすすめです。
各企業には必ずしもIT専門のスタッフがいるわけではないので、自社の状況に応じて最適なサポートを受けられるソフトを選ぶとよいでしょう。
原価管理を行うためのソフトにはオンプレ版とクラウド版があり、それぞれに異なるメリットが存在します。ソフトを選ぶ際には費用だけでなく、現場で求められている機能やサポート体制などについて検討する必要があります。経営規模が小さい段階ではクラウド版のシンプルな機能を持つソフトでも充分対応可能です。安定した経営を行うためには、自社の状況に合った機能を備えサポート体制も充実したソフトを選ぶとよいでしょう。