原価管理ソフトで常に変動する原価状況をリアルタイムで把握する
今はグローバル社会となって、日々変動する原価を正確に知っておくことはますます大変になっています。
では常に変動する原価の状況をリアルタイムで把握するために必要なことはどんなことでしょうか。
また、原価管理ソフトのどの機能でそれらが実現できるか考えます。
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原価をリアルタイムに把握するために必要なこと
事業を行っている会社すべてに言えることですが、原材料や人件費・様々な経費などを計算し、その計算を元に利益を上乗せして商品の値段を計算します。
そのためには、原価を正確に計算することが大切ですが、今はグローバル社会となっていて、経験者の勘やどんぶり勘定で価格を決定することは危険です。なぜなら、政治情勢や為替変動などの影響を受けることが多いからです。
ですから、日々の価格の動きを正確につかむことはかなりの労力が必要です。それでも計算することに終始してしまうと、原価を把握したことで満足してしまい、関係者や経営の判断を行うべき上層部へ理解しやすい形で情報を提供することがおろそかになりがちです。
そうなると、せっかく苦労して計算した結果を最終的に会社の利益に結び付けることができません。そう考えますと、原価を計算する過程を短縮し、情報の分析やその後の展開ができるように計算結果を共有できるようにしたいものです。
原価を正確に計算しつつ、関係者がわかるような仕方で展開するためには、原価管理ソフトを活用することは必須と言えるでしょう。
原価の見える化ができる機能の搭載
原価管理ソフトを導入する強みは、原価の見える化ができる機能を搭載していることです。原価は会社の利益に影響を与えるものですから、様々な関係者への数値の提供が必要です。
そのためには、標準原価計算や実際原価計算に加え、工程別原価計算や部門別原価計算などの用途にあった計算結果を出すことが求められますが、原価管理ソフトではそれらを自動で行うことができますし、一部の原価に修正が入った場合でも簡単に再計算することが可能です。
さらに、工程の各段階や予算・実行の各ステップなど、細かい工程ごとの数値も取り出せますので、現場担当者にとってわかりやすい数値を提供することもできるようになっています。こういった作業を迅速に行うことで、コスト削減のヒントを見つけたり、高騰しそうな原材料を早めに買い付けておくなどの判断ができるようになるはずです。
加えて、多品種を小ロットずつ生産する現場が多くなっている現代では、手計算に頼ると原価の把握がなかなか進まないものですが、原価管理ソフトを導入することで各製品の状況がわかりやすくなるのもメリットとなります。
把握した原価を結果に生かす差異分析やシミュレーション機能
原価管理ソフトは原価計算からリアルタイムに数値を分析して改善につなげるのに必要な機能が備わっています。それが差異分析機能とシミュレーション機能です。差異分析機能ですが、原価はこの価格で作れると予定されたものと実際に作成した際の価格には差異が生じるものです。
これは原材料のみならず、労務費や固定費でも生じます。それらを品目別や工程別・プロジェクト別などで各ステップごとに分析できることで、リアルタイムに把握した情報を元にコスト削減にはどうしたらよいかなどの判断が可能になるのです。
さらに海外に生産拠点を持っていたり、生産委託をしている場合は、為替変動も価格変動の大きな要素です。最近では、為替変動を加味した形での差異分析も可能なソフトが出ていますので、複雑な計算をより簡単に行うことができます。
加えて、急激な景気変動に対応できるようシミュレーション機能を備えたものがあります。材料ごと・仕入先ごとのシミュレーションが可能なものがありますから、それによって原価の高騰が予測できることで、事前に対策を講じることができます。
入力業務の軽減や帳票作成が簡単にできるのでスピードアップ
原価をリアルタイムに把握するうえで大切なのはスピードと言えます。多種多様な原価の数値をつかんで、やっとソフトに入力し終わったころには、価格が変動していたなどと言うことも少なくありません。
会社組織であれば、原価に関する情報をエクセルなどで作成しているケースが多く、それらをソフトに入れなおすとスピード感に欠けるどころか、ヒューマンエラーによって正確な数値を出しにくくする場合があります。
ですが最近の原価管理ソフトでは、ある程度のフォーマットの縛りはあるものの、エクセルなどで作成したデータをそのまま取り込めるものがありますから、スピーディーかつ正確に数値を把握することができます。さらに、リアルタイムで関係者に数値を提供するためには、わかりやすい帳票を簡単に作成できることが大切です。
最近のソフトでは、一定のフォーマットでの出力やグラフなどを使った見やすい帳票をボタン一つで作成することが可能なものが出ています。数字の羅列よりも視覚的にパッと見ただけで問題点を見つけやすい帳票の出力は、会社の利益につなげる大切な機能です。
連係機能によって情報を共有できる
原価をリアルタイムでつかんだ先にあるのが、他部署や外部の得意先などと連係させることです。その点、最近出されている原価管理ソフトでは連係機能が強化されています。
たとえば、算出した原価を元に見積書を自動的に作成したり、受注先を管理することで各工程の起こるトラブルを未然に防ぐこともできるようになっています。予算管理に役立てることもできますし、発注依頼書から注文書まで作成できる機能があります。仕入や支払いなどの伝票類を作成できたり、売上や入金管理を行えるので資金繰り管理まで網羅できるものもあります。原価管理ソフトで入力した日報情報を給与計算データとして活用することもできます。
建設業では労働管理や必要書類の作成が求められるものですが、ソフトを活用することで労災保険料の計算を行ったり、公的な届出書類を作成することもできるものがあり、本来人手がかかっていた事務作業を大幅に減らしてくれるものがあります。こういった機能が充実していることで、原価のリアルタイムの把握が業務改善や利益向上に役立てられるよう工夫されています。
数値をリアルタイムにつかんで取り込める機能
会社では様々な機器やソフトを使って業務が遂行されています。ですので、それらのツールで得られた情報を取り込めたり、逆に原価管理ソフトに入った情報を他のソフトに展開することで、会社全体での原価の情報を共有できると言えるでしょう。
最近の原価管理ソフトでは、リアルタイムに在庫管理が必要な現場で使われるバーコードやハンディ端末などの情報を正確につかんで分析する機能が付いたものがあります。このような機能は倉庫での在庫管理などで得られた電子データを活用するものですから、リアルタイムの原価管理が容易になります。
さらに最近では、出張や外出先からスマートフォンなどを使用して勤怠データを打刻するケースも多くなってきています。そのようなケースを想定して、WEBを用いての勤怠打刻データをリアルタイムに取り込めるものもあります。
外部からアクセスが可能になるとセキュリティの心配も出てきますが、ユーザやグループごとにルール決めができて、内部統制にも対応するソフトも出てきています。そして原価管理ソフトに入った情報を会計や給与と連動させることができるものも多数あります。
日々大きく変動する原価をスピーディにリアルタイムにつかむためには、原価管理ソフトの導入がカギになります。インプットだけでなく分析やアウトプットも簡単にできて、他部署や外部との連携も可能になることで、数値の把握が利益アップにつながります。